<夢はかなう>北澤佑子さん(平17卒)今秋、南極へ

北澤佑子さん(平 17 卒)今秋、南極へ

平成 17 年卒の北澤佑子さんが、第 61 次の南極観測隊の同行者(教育関係者)に選ばれました。

北 澤 さ ん は茨城県立守谷高等学校で理科(生物)の教諭をしています。本県の教育者が同行者に選ばれたのは、北澤さんが初めてだそうです。北澤さんは、3度目の挑戦で念願の南極への切符を手に入れました。

聞き手:宮内寿子(昭 47 卒 広報副委員長)

○なぜ南極に惹かれたのですか。

筑波大学大学院のときに,過去に南極地域観測隊員であった教授の講義を受け、「教員南極派遣プログラム」というものがあることを知り、いつか自分も行ってみたいという気持ちが芽生えました。そのことがきっかけですが、国立極地研究所に関する記事で「南極では科学も育てるし、人間も育てる」という言葉に、心が動かされました。教師として行ってみたいという気持ちで選考を受け、三度目の挑戦で実現しました。南極観測隊等として体験された人たちには熱い志を感じます。私はそれを「南極魂」と名付けました。

○南極での経験を通して教育者として伝えたいことは?

まだ経験はしていませんが、私たちは人と人とのつながりの中で生きていると思っています。だから人と人との縁に感謝しながら、夢に向かって進んで欲しいと思います。いろいろな考えや価値観がある中で、共に生きる社会だからこそ、相手を理解しようとする素直な気持ちがとても大切であり必要だと考えます。南極は地球の未来を開く窓だと思います。チーム地球の一員として参加し、主体的かつ協働して地球の未来を考えながら行動するとはどういうことかを、生徒たちにも伝えたいと思っています。私が南極に行くことができるのも、私一人の力ではなく、応援してくれる多くの人たちがいたからです。その人たちのためにも、頑張りたいです。

○具体的に授業について教えてください。

来年の 1 月 25 日にミュージアムパーク茨城県自然博物館、1 月 27 日に守谷高校で、南極からライブ中継の授業を行います。実際に南極の海で釣りをしたいと思っています。何が釣れるのか、目の前で動く生き物の様子を知ってもらいたいです。

○魚ですか。生物の世界に惹かれたきっかけは何ですか。

魚かどうかは分かりませんが、どんな生き物が生息しているのか観察したいです。東京学芸大学の初等教育教員養成課程理科選修時代、ヒトデの研究室に所属し、ヒトデの生殖等について研究活動を行ったことから生物の世界に興味をもちました。

○興味を持ったものが本当はどうなっているのか、という問いを持つのは重要なことですね。その姿勢が今回の南極観測隊同行者への道を開いている。北澤さんが大切にしている言葉や思いを教えてください。

私の座右の銘は「至誠一貫」です。私には難病の妹がいます。妹は、常に前を向いて一日一日を必死に生きています。その姿から私は生命をどう大切にしていくかを真摯に考え、本気で生きる力を学びました。夢を叶えたいと思ったら、前を向いて足下をしっかり見つめて行動し続けることが大切だと思います。そして、感謝の心を忘れないことです。

○武勇伝をいろいろ伺っていますが、高校時代の思い出は何ですか。

応援団の仲間同士での口喧嘩ですかね。目指す方向は同じであり、一人ひとり本気で考えていました。自分の考えや思いを素直に語れることが出来る仲間に恵まれた高校生活でした。人の考えを丁寧に聞く大切さを知ることができました。みんな自分なりの考え方を持っていましたが、他者との違いを認め合う。枠にとらわれない、多様性を認め合って本気で楽しんでしまう、そういう行動力と仲間意識は、今でも生きる糧になっています。

 

本日はお忙しい中、本当に、ありがとうございました。無事戻られて、南極での体験を、生で伺えるのを楽しみにしています。

<インタビューを終えて>

高校生を南極に連れて行きたい、本当はその引率教員として行きたい、という北澤さんの言葉が印象に残りました。この高校生派遣への思いは、2018年 7 月 末の 「南極 観 測シン ポジ ウム2018」で発表しているそうです。